第215章 保護

仁藤心春は驚き、声のする方向を見ると、二人の女性が悠仁に向かって罵声を浴びせているのが見えた。

心春は急いで立ち上がり、田中悠仁の方へ足早に歩いていった。

田中悠仁は眉をひそめて不機嫌そうだった。この二人の女性のことは全く知らなかった。ただトイレを済ませて出てきた時、このテーブルの前を通りかかった時に、突然この二人に止められ、何かの広告に出ていたのかと聞かれ、一緒に写真を撮りたいとかサインが欲しいとか言われただけだった。

そんなことには当然相手にする気もなく、すぐに断った。

すると二人の女性はすぐに態度を豹変させ、罵声を浴びせ始めた。

こういう女性たちは本当に退屈だ。ただ彼の外見だけで写真やサインを求め、断られたからといってこんな風に罵る。彼女たちが本当に好きなのは、きっと精巧な人形のようなもので、彼女たちに逆らうことなく、言うことを何でも聞くようなものなのだろう。