仁藤心春が研究室で新製品の確認をしているとき、秋山瑛真が研究室に飛び込んできて、彼女の手を直接引いて言った。「一緒に来て」
「今?」仁藤心春は驚いた。
「ああ、今だ」彼は言い、仁藤心春の周りにいる研究開発スタッフたちを一瞥して、「仁藤部長は今から私と用事があるので、何かあれば明日にしてください」
研究開発スタッフたちは顔を見合わせ、仁藤心春が秋山瑛真に手を引かれて研究室を出ていくのを見送った。
「これはどういうことだろう?秋山会長は仁藤部長をどこに連れて行くの?」
「しかも仁藤部長の手を直接引いていたよ!」
「前回も秋山会長はレストランで仁藤部長の手を引いて会社を出て行ったって聞いたよ」
「秋山会長と仁藤部長は何か関係があるのかな?」
「余計なことを言うな。仁藤部長は温井グループの次男と付き合っているって聞いたよ」