第249章 彼は彼女が思うほど良い人ではない

山本綾音はよだれで喉を詰まらせそうになった。

「私に...お金をくれるの?」これはドラマでよくある展開ってことなの?

「そう、言ってみて。いくらなら兄と別れてくれる?たくさんのお金を用意できるわ。もう父親の医療費のことで悩まなくていいし、これからは贅沢な暮らしができるわよ」と温井澄蓮は言った。

「えっと、でも今は医療費のことで悩む必要はないし、それに朝岚と一緒にいれば、贅沢な暮らしができないってことはないでしょう?」と山本綾音は反問した。

今は父の医療費を支払える余裕があるし、朝岚も将来お金が足りなくなったら相談してくれと言ってくれている。

彼とつきあっているのはお金目当てではないけれど、もし経済的に困ったときに、こんな裕福な彼氏がいるというのは、やはり心強い。

温井澄蓮はこの言葉を聞いて、すぐに怒って言った。「やっぱり兄のお金が目当てなのね。兄と付き合うのは、贅沢な暮らしがしたいだけでしょう!」