第271章 本当に良かった

「あるわ!」彼女は即答した。「たくさんあるわ!」

当時、アロマサークルのメンバーの何人かが匂い袋をねだってきて、綾音にも作ってあげたし、そうそう、あの山田流真という最低野郎にも作ってあげたことがあった!

秋山瑛真は息を詰まらせた。「誰にあげたんだ?」

「学校の人たちよ」と彼女は答えた。

「学校外の人は?」と彼は尋ねた。

仁藤心春の脳裏に、ジェイの姿が浮かんだ。かつて、彼女はジェイに匂い袋を送ったことがあった。

インターネットで知り合ったジェイは、彼女にとって一種の慰めのような存在だった。自分にも誰かを助けることができる、この世界には自分を必要としてくれる人がいるんだと。

ただ、その後アルバイト中に客の物を壊してしまい、かなりの額の賠償金を支払わなければならなくなり、その間ジェイへの支援ができなくなった。そして賠償金を支払い終わって再び支援しようとした時には、送金用の口座は既に閉鎖されていた!