第303章 一緒に飲もう

山本綾音は携帯の着信表示を呆然と見つめていた。「朝岚」という名前を見るだけでこんなにも辛くなるなんて、今まで知らなかった。

携帯の着信音が鳴り続ける中、山本綾音は躊躇いながらも、最後には通話終了ボタンを押した。

今の彼女には、朝岚からの電話に出ても、何を話せばいいのか分からなかった!

自分の思考を整理して、朝岚にどう向き合うべきか考えたかった!

しかし、電話を切った直後、温井朝岚からまた着信が入った。

山本綾音は再び通話を終了し、メッセージを送った。「今ちょっと用事があるの。また後で連絡するね。」

ようやく、電話の向こう側からの着信は止んだ。

山本綾音は苦笑いを浮かべながら、携帯をしまった。

茫然とした感覚が全身を包み込み、どうすればいいのか分からなかった!

仁藤心春が会社のビルから退社してきた時、山本綾音が会社の入り口で立っているのを見かけた。