仁藤心春は恍惚として顔を上げ、目の前に立っている温井卿介をぼんやりと見つめ、まるで救世主を見つけたかのように言った。「あ...あなた来てくれたのね。綾音と一緒に飲んでくれない?私、ちょっと酔っちゃって...」
温井卿介は眉をひそめた。彼女の今の様子は、「ちょっと」どころの酔い方ではない!
仁藤心春の腕の中にいた山本綾音はその言葉を聞き、頭を揺らしながら温井卿介の方を見た。そして心春の腕からふらふらと離れ、「私...私は温井卿介なんかと...お酒を飲みたくない。あんな男...怖すぎる。心春だけよ...あの人を宝物みたいに思って...好きになれるなんて。私なら...死んでも...死んでもあんな男を好きになんてならない...」
「そんな...そんな大げさな言い方しないでよ。卿介はとても...優しいのよ...それに...とてもハンサムだし。あなた、顔フェチって言ってたでしょ?卿介の顔なら...好きに...なるのは簡単よ」仁藤心春は理を通そうとした。