「うん、お父さんの事故が温井朝岚と関係があって、自分を責めているって言ってたわね」と仁藤心春が言った。
山本綾音は暗い表情を浮かべた。「おかしいでしょう。まるで偶然が重なって、取り返しのつかない結果になってしまったみたい」
仁藤心春は黙っていた。親友の気持ちが分からず、どう慰めていいのかも分からなかった。
「これからどうするつもり?」しばらくして、仁藤心春が尋ねた。
「どうしようもないわ。彼と別れを切り出したの」山本綾音は苦笑いを浮かべた。
「別れ?」仁藤心春は驚いた。「温井朝岚と別れたの?」
「まだ正式じゃないわ。別れを切り出したら、冷静に考える時間が欲しいって言われて。だから今は冷却期間かな」と山本綾音は答えた。
「じゃあ、別れない可能性もあるの?」と仁藤心春。