愛したかどうかに関係なく、彼女にとって人生は終わりに近づいていた。今の彼女が望むのは、ただ早く綾音を見つけ出し、綾音が無事でいることだけだった。
病院に着くと、仁藤心春は病室に入り、山本綾音の両親に会った。
山本お父さんは眠っていたが、山本お母さんはティッシュを手に持ち、涙を拭い続けていた。
「おばさま、警察はきっとすぐに綾音の居場所を突き止めるはずです。温井家も捜索の人員を出しています」と心春は山本お母さんを慰めた。
「ああ、どうして綾音がこんな目に遭うことになったのでしょう!あんな大きなショッピングモールで、監視カメラの下で連れ去られてしまうなんて!」と山本お母さんは悲しそうに言った。
「申し訳ありません!」と心春は深く謝罪した。
あの時、もし振り返って綾音の助けを求める声に気付いていれば、こんな結果にはならなかったはずだ!