また鼻血が出る

仁藤心春は冷たい目で相手を見つめた。「秋山瑛真、私はもう言ったでしょう。あなたに何も借りはないし、これ以上関わりたくもない」

彼に対して、彼女はもう完全に諦めていた。

秋山おじさまに対してまだ申し訳ない気持ちは残っているものの、秋山瑛真に対しては、もう後悔も罪悪感も一切なかった。

ある意味で、彼女の心は彼に対して完全に死んでいたのだ！

「お前——」秋山瑛真は目の前の人を睨みつけたが、突然表情が変わった。「血だ、なぜ血を流している！くそっ！」

仁藤心春は一瞬固まった。

血？

ぽたぽた、ぽたぽた！

真っ赤な血が、一滴一滴と彼女の服に落ちていった。

今日着ている服は薄い色で、鮮やかな赤い血が、薄い色の服に染みて、一層目立っていた。

まるで何か熱いものが、鼻先からどんどん溢れ出てくるようだった。

仁藤心春は秋山瑛真に掴まれていない方の手を上げ、自分の鼻先に触れた。

指先に粘っこい温かいものが触れた！

また鼻血が出た。まるで彼女の体が、どんどんボロボロになっていくことを思い出させるかのように！

「一体どうしたんだ、なぜまた鼻血が出ているんだ？」秋山瑛真の声には、自分でも気付いていない焦りが混じっていた。

「それはあなたには関係ないでしょう」仁藤心春は言った。

話をしたせいで、鼻血の量が更に増えた！

秋山瑛真の表情は一層険しくなり、直接仁藤心春の顎を掴んで、強制的に上を向かせた。「喋るな、上を向いて、今すぐ近くの薬局で止血用の綿球を買ってくる！」

しかし次の瞬間、仁藤心春は力いっぱい秋山瑛真を押しのけ、よろめきながら二歩後ずさりした。

「仁藤心春！」秋山瑛真は突然押しのけられ、目に怒りの炎を宿した。「今何を拗ねているんだ、俺がお前のことを心配したいと思っているとでも？」

拗ねている？仁藤心春は嘲笑うように笑った。鼻からの血はまだ流れ続け、服にますます多くの血が落ちていき、周りの通行人の多くが、彼らの方を気にかけるように見ていた。