秋山瑛真の体が急に硬直し、ほとんど無意識のうちにハンドルを切り、ブレーキを踏んで路肩に停車した。
彼の視線は、車の窓を通して、道路の壁に寄りかかっている仁藤心春を見つめていた。
彼女はここで何をしているのだろう?
そう考えていた時、仁藤心春は突然しゃがみ込み、「オエッ...オエッ...」と吐き気を催しているようだった。
秋山瑛真は眉をひそめた。彼女は体調が悪いのだろうか?
体調が悪いなら、なぜ病院に行かないのか。こんな夜遅くに道端で何をしているんだ!
彼は薄い唇を固く結び、その姿を見つめ続けた。
しばらく経っても、彼女は立ち上がる様子もなく、ずっと吐き続けているようだった。
秋山瑛真の眉間のしわは深くなる一方で、胸の中に不快な感覚が広がっていった。
理性は彼に立ち去るべきだと告げていた。仁藤心春がここで吐き死のうが、自分には関係ないはずだ!