彼の顔色は一瞬にして険しくなり、次の瞬間、彼は激しく彼女の唇を奪った。まるで彼女の口からこれ以上何も聞きたくないかのように!
「んっ……」仁藤心春はこのキスを必死に受け止めながら、彼の舌が彼女の口の中で絡み合い、彼女の舌を捕らえ、逃げ場を失わせるのを感じていた。
彼は片手で彼女の顎を掴み、少しも動かせないようにして、彼との唇と舌の絡み合いを受け入れるしかなかった。
そして、もう片方の手で彼女の腰を掴み、何度も何度も、彼女の体を突き上げていた。
体が……まるで自分のものではなくなったかのように、呼吸さえも困難になり、頭の中が徐々に真っ白になっていった。
彼女が気を失いそうになった時、耳元で彼の声が響いた……「お姉さん、君は僕のものだ!」
————
仁藤心春が再び目を覚ました時には、すでに翌朝になっていた。体は既に清められていたが、体中の痕跡は依然として恐ろしいほど多く、事情を知らない人が見たら、酷い虐待を受けたと思うかもしれない。
しかし昨夜の経験は、確かに虐待と変わらなかった!
望まない愛は、こんなにも苦しいものだったのだ。
さらに、体と理性の相反が、彼女に悲しい感情を抱かせた。
「お姉さん、目が覚めた?」寝室のドアが開き、一つの影が入ってきた。
仁藤心春は顔を上げ、白いシャツと白いズボンを着た温井卿介を見つめた。端正で優雅な容姿に、今の服装が相まって、まるで天使のように見えた。
彼はベッドの側まで来ると、優しく彼女を抱きしめた。「浴室まで抱っこしようか?昨日は君を疲れさせすぎたから、今は自分で歩く力もないだろう。」
口調も態度も、相変わらずいつものように優しく、まるで昨日病院での出来事が夢だったかのようだった。
「温井卿介……」仁藤心春は呟くように言った。
彼の抱擁がゆっくりと緩み、その鳳眼で彼女を見つめ、薄い唇に笑みを浮かべた。「僕は君に卿介と呼ばれる方が好きだよ。」
彼女はずっと知っていた。彼の笑顔は美しく、特に意図的に見せる素敵な笑顔は、より一層人を魅了する。まるで彼が魅了したい相手の心を完全に奪い取るかのように。
「でも、あなたは卿介じゃない。温井卿介よ。」彼女は苦々しく言った。