死ぬまでもない

「これらの物は好きに処分して構わないわ、捨てても大丈夫よ」と仁藤心春は言った。

「捨てる?」鳳眸を細め、「どうやら本当にどうでもいいようね」

「意味のないものは、私が持って帰っても結局は捨てることになるわ。もしこれらを見たくないなら、メイドに頼んで全部捨ててもらえばいいわ」と彼女は言った。

温井卿介の表情は一層冷たくなった。「君にとって、どんなに好きだったものでも、一度嫌いになれば、未練なく捨て去ることができるということか?」

仁藤心春はゆっくりと目を上げ、温井卿介を見つめた。「あなたにとってはそうじゃないの?好きじゃなくなったものを、まだ大切にして、未練を持ち続けるの?」

彼はその言葉を聞き、瞳の光が沈んだが、唇の端が突然上がった。「その通りだ。好きじゃなくなれば、確かに未練なく捨て去ることができる。ただし...一度捨てたら、後悔だけはするなよ。取り戻したいと思っても、もう二度と戻らないかもしれないからな」

その言葉は、二重の意味を持っているようだった。

仁藤心春はため息をつき、真剣に言った。「もう二度と取り戻したりしないわ。死ぬまで...絶対に!」

そう言い終えると、彼女は躊躇なく歩き出した。

温井卿介は薄い唇を固く結び、ペアカップが置かれているテーブルに近づき、仁藤心春のカップを手に取った。

「死ぬまでしないって?」異様に冷たい声が薄い唇から漏れ、彼の指はカップを強く握りしめていた。

つまり、このカップだけでなく、彼も...彼女に簡単に捨てられたということだ!

子供の頃もそうだった。そして今、大人になっても、同じことだ。

「じゃあ、本当に死ぬまで私に跪いて取り戻しを懇願することがないか、見てみようじゃないか。ただし今度は、絶対に許さないがな!」と温井卿介は呟いた。

許すことも、愛することもない!

父親のように、一人の女に影響されることは絶対にない!

だから彼女の望み通り、去らせてやる。これからは二度と、この女に心を揺さぶられることはない。一瞥もくれてやらない。

たとえ目の前で死のうとも、一片の同情も憐れみも与えない!

————

仁藤心春は自分のアパートに戻り、簡単に片付けをした。

すべてが以前のように戻ったようだった。これからは、おそらく彼女が死ぬその日まで、もう温井卿介に会うことはないだろう。