「これらの物は好きに処分して構わないわ、捨てても大丈夫よ」と仁藤心春は言った。
「捨てる?」鳳眸を細め、「どうやら本当にどうでもいいようね」
「意味のないものは、私が持って帰っても結局は捨てることになるわ。もしこれらを見たくないなら、メイドに頼んで全部捨ててもらえばいいわ」と彼女は言った。
温井卿介の表情は一層冷たくなった。「君にとって、どんなに好きだったものでも、一度嫌いになれば、未練なく捨て去ることができるということか?」
仁藤心春はゆっくりと目を上げ、温井卿介を見つめた。「あなたにとってはそうじゃないの?好きじゃなくなったものを、まだ大切にして、未練を持ち続けるの?」
彼はその言葉を聞き、瞳の光が沈んだが、唇の端が突然上がった。「その通りだ。好きじゃなくなれば、確かに未練なく捨て去ることができる。ただし...一度捨てたら、後悔だけはするなよ。取り戻したいと思っても、もう二度と戻らないかもしれないからな」