真相を追求する

数日後、秋山瑛真は古川山から長谷健軍の調査資料を受け取った。

その資料に目を通した瞬間、彼は眉をひそめた。資料を見る限り、特に問題はなかった。長谷健軍は大学を卒業後、博物館での実習を経て契約社員となり、その後上層部から抜擢され、正規職員となって良いポジションを得ていた。

もし彼が大人しく、何も問題を起こさなければ、徐々に昇進していけただろう。一般人にとって、このようなキャリアは明らかに悪くない。

さらに、彼には付き合っている彼女がいて、二人の仲は良さそうで、すでにお互いの両親にも会っていた。

全体的に見て、この資料はごく普通のものだった。

しかし、秋山瑛真は何か違和感を覚えていた。

順調すぎる!

長谷健軍のキャリアパスが、あまりにも順調すぎるのだ!

通常、博物館の契約社員になるのは難しくないが、正規職員になるのはそう簡単ではない。しかも長谷家は普通の家庭で、特にコネもない。

なぜ大学を卒業して間もない人物が、博物館の正規職員になれたのか?

「彼が博物館の正規職員になれた理由は分かりますか?」と秋山瑛真は尋ねた。

「現時点では、館長が彼の仕事ぶりを評価して特別に採用を決めたということしか分かりません。ただし、彼が正規職員になったのは、博物館で仁藤さんと温井さんに偶然出会った後のことです。また、長谷健軍は酔った際に同僚に、幼い頃からの恩人の助けがあったと話していたそうです」と古川山は答えた。

秋山瑛真は身を引き締めた。

恩人の助け?

もしかして、長谷健軍の言う恩人とは、温井卿介なのだろうか?

どうやら、長谷健軍とじっくり会って話を聞く必要がありそうだ!

————

深夜、とある小さなアパートの一室で、長谷健軍は床に押さえつけられていた。秋山瑛真は部屋の木製の椅子に座り、精巧なスイス製のナイフを手で弄んでいた。

「どうだ、まだ本当のことを話す気にならないのか?」秋山瑛真は冷たく尋ねた。

長谷健軍の顔は冷や汗でびっしょりで、体は多くの殴打を受けていた。胸部は激しく痛み、呼吸するたびに痛みが増していく。おそらく肋骨が何本か折れているのだろう。

「私は...本当のことを話しています。あの時、仁藤心春は...本当にあなたたちを探しに来ませんでした。もし...もし彼女が戻って来ていたら、私は必ず覚えているはずです!」長谷健軍は主張した。