秋山瑛真は目を上げて山本綾音をまっすぐ見つめ、「そうだとしてどうだ」と言った。
彼は山本綾音に隠すつもりなど全くなかった。そうでなければ、山本綾音がオフィスを出る前に、この電話に出ることはなかっただろう。
山本綾音は目を見開いて、「あなた狂ってる、これは犯罪よ!」と叫んだ。
「心春を救えるなら、犯罪かどうかなんて関係ない!」秋山瑛真は、声に決然とした覚悟を込めて言った。
「でも考えたことある?心春がどう思うか?彼女は悠仁に迷惑をかけたくないのよ。もしあなたがこんな方法で適合検査をしたって知ったら、たとえ適合しても、骨髄移植を受け入れないわ!」山本綾音は言った。
「彼女には知られない!」秋山瑛真は言った。「私が彼女に骨髄移植を受けさせる。そして、骨髄を提供したのが田中悠仁だということも、彼女には決して知られない」