まさか誘拐じゃないでしょうね

「山本綾音、あなた……瑛真に昔のことを話したのね。そうでしょう?」突然、坂下倩乃が山本綾音に向かって叫んだ。

もし寄付の真相が仁藤心春の口から出たものでなければ、山本綾音の可能性が高い。だって、彼女は仁藤心春と仲が良いのだから!

山本綾音はすぐに理解した。坂下倩乃が今のような状態になったのは、おそらく秋山瑛真のせいだろう。

そうだ、秋山瑛真のような人が、自分にそんな大きな嘘をつかれるのを許すはずがない!

「人に知られたくないなら、最初からしなければいい!でも今は無駄話をしている暇はないわ!」山本綾音は言い終わると、受付に向かって言った。「秋山会長に伝えてください。山本綾音が彼のお姉さんについての重要な用件で会いたいと。そうすれば、きっと会ってくれるはずです!」