問い詰める資格なんてない

仁藤心春は驚き、耳元で秋山瑛真の声が響いた。「よかった、やっと目を覚ましたんだね。僕は...本当に怖かった、このまま目を覚まさないんじゃないかって」

仁藤心春は彼女を抱きしめているその腕が、微かに震えているのを感じた。

彼はその震えを必死に抑えようとしているようだったが、完全には制御できないでいた。

「瑛真...」心春は呟くように言った。「大丈夫よ、ただ眠っていただけ。私、どのくらい寝てたの?」

「もう丸一日近く眠っていたんだよ!」瑛真は言った。

この24時間近くの時間、一分一分が、彼にとっては拷問のようだった。

「一日?」心春は一瞬固まり、何かを思い出したかのように突然焦りだした。「じゃあ悠仁のことについて何か分かった?山田流真から電話はあった?」

一日で、あまりにも多くのことが起こり得る!

山田流真が与えた期限はもともと一週間で、もう2日が過ぎてしまった!

「山田流真からはまだ電話はないけど、心配しないで。既に宝石類を集めてある。寶石の劍ほどの価値はないけど、山田流真が欲しがっているのは価値のある物だから、今の窮地にいる彼なら、数千万円相当の宝石でも受け入れるはずだ。電話さえかかってくれば、なんとか交渉できる。必ず悠仁を救出できる」瑛真は言った。

心春の感情は少し落ち着いた。「ありがとう。あなたが助けてくれなかったら、私本当に...」

「お礼なんて言わないで。君の力になれて、僕は嬉しいんだ」瑛真は呟くように言った。「必ず悠仁を救出する。君も生きていける。だから、僕は諦めない。君も諦めないで」

そう言いながら、彼は彼女の肩に顔を埋め、両手で彼女の体をより強く抱きしめた。

心春は小さく「うん」と答えた。

かつては死んでも構わないと思っていたのに、今は生きていたいという思いが強くなっていた!

それは、自分の側に本当に自分のことを想ってくれる人がいることを知ったから。

瑛真、綾音...だから簡単に命を諦めたくない!

彼女は頑張る、もう頑張れなくなるその瞬間まで。そうでなければ、彼らを裏切ることになる!

その時、突然、病室のドアが勢いよく開き、「バン」という音が響いた。

瑛真はゆっくりと顔を上げ、病室の入り口を見た。心春を抱く腕が突然強く引き締まった。