医師と看護師が前に進み出て、仁藤心春に基本的な検査を始めた。
山本綾音はほとんど息を止めて検査結果を待っていた。医師が今回の失神は疲労とストレスによるもので、病状の急激な悪化によるものではないと言うのを聞いて、やっと安堵の息をついた。
彼女は親友の病状が急変することを本当に恐れていた。
今、医師の診断では最長でも2ヶ月の余命だが、親友が一日でも長く生きられることは、それだけ希望が増えることを意味していた。
結局のところ、悠仁が心春に骨髄移植をすることができれば、一縷の望みがあるのだから。
ただ...無事に悠仁を救出できさえすれば!
医師は検査を終えると、看護師と共に病室を出て行った。
病室には、温井卿介と秋山瑛真、仁藤心春、そして山本綾音の四人だけが残された。
山本綾音は病室内の二人の男性を見比べた。先ほどはあまり感じなかったが、今になって雰囲気の異様さを感じ取った。