心変わり

医師と看護師が前に進み出て、仁藤心春に基本的な検査を始めた。

山本綾音はほとんど息を止めて検査結果を待っていた。医師が今回の失神は疲労とストレスによるもので、病状の急激な悪化によるものではないと言うのを聞いて、やっと安堵の息をついた。

彼女は親友の病状が急変することを本当に恐れていた。

今、医師の診断では最長でも2ヶ月の余命だが、親友が一日でも長く生きられることは、それだけ希望が増えることを意味していた。

結局のところ、悠仁が心春に骨髄移植をすることができれば、一縷の望みがあるのだから。

ただ...無事に悠仁を救出できさえすれば!

医師は検査を終えると、看護師と共に病室を出て行った。

病室には、温井卿介と秋山瑛真、仁藤心春、そして山本綾音の四人だけが残された。

山本綾音は病室内の二人の男性を見比べた。先ほどはあまり感じなかったが、今になって雰囲気の異様さを感じ取った。

「温井さん、私は休みたいので、お帰りください」心春は客を追い払うように言った。

温井卿介は心春を見つめたまま、彼女のベッドに向かって歩き出した。

秋山瑛真は突然手を伸ばして温井卿介を遮った。「心春に近づくな!」

しかし温井卿介は秋山瑛真の手を払いのけた。「これは俺と彼女の問題だ。お前に口を出す資格はない!」

秋山瑛真が再び止めようとした時、心春が口を開いた。「瑛真、止める必要はないわ」

秋山瑛真は唇を噛んで、躊躇した。

傍らの山本綾音は秋山瑛真の袖を引っ張り、小声で言った。「とりあえず心春の言う通りにしましょう」

結局、もしこの二人の男性が病室で殴り合いでもしたら、事態はより悪化するだけだから。

温井卿介はベッドの前まで来ると、高みから心春を見下ろした。「本当に死ぬのが怖くないのか?俺の条件を受け入れれば生きる可能性があるのに。俺は田中悠仁を救出する手助けさえできるんだぞ!」

心春は落ち着いた目で相手を見つめた。「あなたの提案が私を弄ぶためのものでないとしても、私は受け入れません。他人を傷つける代償として生きることは望みません。私は自分で悠仁を救出する方法を考えます!」

彼は彼女を睨みつけた。「本当に秋山瑛真を愛しているのか?」

「はい」彼女は躊躇なく答えた。

山本綾音は息を呑み、驚いた表情で親友を見つめた。