病院救急

山本綾音は目を輝かせ、「ありがとう、ありがとう!」と何度も言った。

温井卿介は老漁師を見つめ、しばらくしてから「いいだろう。必要なものは何でも言ってくれ。明日出発だ!」と言った。

「はい」と老漁師は答えた。

山本綾音はようやく安堵の息をつき、急いで温井朝岚を病院へ連れて行った。

道中、山本綾音は温井朝岚の肩から絶え間なく滲み出る血を見て、申し訳なさそうに「ごめんなさい!」と言った。

彼が温井卿介を怒らせないようにと警告していたのに、あの状況で彼女は思わず声を上げてしまったのだ。

もし彼女が温井卿介を怒らせていなければ、朝岚は怪我をすることもなかったはずだ!

「君のせいじゃない」と彼は優しく言った。「それに、実はそれほど痛くないんだ。これは本当に些細な怪我に過ぎないよ」