今更後悔しても始まらない

山本綾音は車の中で針のむしろに座っているような気分で、温井澄蓮が彼女を車に乗せた真意が分からなかった。岚が怪我をしたから、温井澄蓮は彼女を厳しく懲らしめるつもりなのだろうか?

しかし、たとえ温井澄蓮が彼女を殴ったとしても、甘んじて受けるつもりだった。

結局のところ、岚が彼女のせいで怪我をするのは、これが初めてではなかったのだから!

「今日、兄さんはいったいどうやって怪我をしたの?」車内に温井澄蓮の声が響いた。

やっぱり来た!

山本綾音は心が引き締まる思いで、今日起こった出来事を説明した。どうせこんなことは、隠す必要もない。温井澄蓮も温井家の人々の一人なのだから、温井卿介が今どんな状態なのか、温井澄蓮の方が彼女よりもよく分かっているはずだ。

案の定、温井澄蓮は話を聞いた後、表情が曇ったが、意外そうな様子はなかった。