彼女は私のお姉さん

山本綾音は一瞬言葉を失い、しばらくの間、どう返事をすればいいのか分からなくなった。

「もし兄のことをまだ好きなら、兄と一緒になってください。兄を裏切らないで。兄はあなたのために、十分すぎるほど尽くしてきたのだから！」と温井澄蓮は言った。

山本綾音は驚いて、「でも、あなたはずっと兄と私が一緒になることに反対していたじゃないですか？」

「そうよ、反対していたわ。私はあなたが兄に相応しいとは全く思えなかったし、あなたと一緒にいると、兄はいつも傷ついていた。」と温井澄蓮は言った。「でも……」

彼女は一旦言葉を切り、目に暗い色が浮かんだ。「次男があんな風になってしまうのを見て、もし将来いつか、あなたが他の人を好きになったとき、兄も同じようになってしまうんじゃないかと本当に怖くなったの。それなら、むしろあなたと兄を一緒にさせた方がいい。」