手が……冷たくなっていく。
彼のキスのせい?それとも彼の言葉のせい?
仁藤心春はまつ毛を震わせ、手を引っ込めようとしたが、温井卿介の指が彼女の手をしっかりと掴んでいて、引っ込めることができなかった。
「ん?」彼は鼻声を上げながら、まだ彼女の答えを待っていた。
「あなたが欲しかったのは寶石の劍じゃないの?あの時、私は既に寶石の劍をあなたに渡したわ。だから、私があなたを掴んだかどうかは、もう重要じゃないはず」彼女は答えた。
彼は彼女の手のひらにキスをする動作を止め、「寶石の劍?最後に俺が欲しかったのは寶石の劍だと思ってるのか?」
「まさか、私のために海に飛び込んだとでも?私を助けに来たっていうの?」仁藤心春は皮肉を込めて言った。
しかし温井卿介の表情は、異常なほど真剣だった。「もしそうだとしたら?」