私の愛を信じないの

仁藤心春は呆然と温井卿介を見つめた。本当に彼女をここに閉じ込めるつもりなのか?展志ちゃんを人質にして?

「なぜ?私を愛しているからですか?」彼女は乾いた声で言った。

「そうだよ、お姉さんを愛しているから、三年前のようにお姉さんが私の目の前から消えてしまうのが怖いんだ。どれだけ探しても見つからなかった。」だから今度は、彼女を自分だけが見える場所に閉じ込めて、どこにも行けないようにする。そうすれば安心できる。

仁藤心春は喉が締め付けられる思いで、「あなたは私を本当に愛していないわ。あなたが言った言葉を忘れたの?一生誰も愛さないって!」

彼の黒い瞳が僅かに動き、彼女の長い髪の一筋を手に取り、掌の中で優しく撫でながら、「確かに私もそう思っていた。この人生で誰も愛さないだろうと。父のように、一人の女性のために生きるか死ぬかの状態になり、全ての感情を相手に操られ、最後には相手の離別で絶望することは望まなかった。でも……」