かつて、彼女は自分がいつか悠仁に本当の姉として認めてもらえると思っていた。
この世で、本当に血のつながった人は彼だけだったから!
でも後になって、彼女はようやく分かった。ある事は、ただ自分の感傷に過ぎず、ある人は、永遠に心を温めることができないのだと。
血縁関係があるからといって、必ずしも彼が姉として認めてくれるわけではない!
彼らの間には、元々親しい縁など無かった。以前もそうだったし、これからもそうなのだろう!
だから塩浜市に戻ってからも、かつての弟に会おうとは思わなかった!
ただ、今日ここに来て、彼が撮影をしているところに出くわすとは思わなかった。
海外にいた三年間も、ネットで彼の情報を見ることはできた。
記憶を取り戻す前は、彼の情報を見ても、ただなぜか見覚えのある人という感じがするだけで、しかも彼を見るたびに、何か悲しい感情が湧いてきた。