その名前を再び聞く

温井朝岚は申し訳なさそうな目で温井澄蓮を見つめ、「ごめん。でも、もしその日が来たら、どんなことがあっても君を守るよ」と言った。

彼にとって、両親がどうなろうと重要ではなかった。今では両親に対する感情もほとんど失われていた。

しかし、妹の澄蓮だけは、必ず守り抜くつもりだった。

温井澄蓮は叫んだ。「お兄ちゃん、私が心配しているのはあなたの安全よ。私のことは考えないで。謝らないで。私は...ただあなたが無事でいてほしいの」

温井澄蓮にとって、かつて兄が彼女の代わりに誘拐され、その結果片足が不自由になったことは、一生消えることのない負い目だった。

兄の片足を奪ってしまった。この恩は、一生かけても返せないものだった。

温井朝岚は優しく温井澄蓮の肩を叩いた。「澄蓮、いつか、本当に誰かを愛するようになったら、私の気持ちが分かるはずだよ」