翌日、仁藤心春は展志ちゃんを幼稚園に入園させた。
小さな子は好奇心に満ちた目で幼稚園を見つめ、まだ何もかもがよくわからない様子だった。
心春は以前から展志ちゃんに幼稚園のことを説明し、幼稚園で起こる面白いことや楽しいことについて多くを語っていた。
幼稚園に来る前は、小さな子は好奇心と興奮でいっぱいだった。
しかし実際に幼稚園に来てみると、小さな子は緊張した様子で、母鳥の後ろをついて歩くひよこのように、小さな手で心春の手をしっかりと握りしめていた。
幼稚園の先生が心春と挨拶を交わした後、小さな子を教室に連れて行こうとした。
しかし小さな子は、小さな体を心春の後ろに隠そうとした。
心春は振り返り、しゃがんで娘に言った。「いい子でしょう?幼稚園でお友達を作りたいって言ってたでしょう?先生と一緒に教室に行けば、あなたと同じくらいの年の子がたくさんいるわ。展志ちゃんのお友達もいるはずよ。それに、ママが言ったでしょう?お昼ご飯を食べて、お昼寝をして、少し遊んだら、ママが迎えに来るって。」
「でも、ママが迎えに来るの忘れちゃったらどうしよう?」小さな子は心配そうな表情で、目に涙が浮かび始めた。
「そんなことないわ。」心春は娘の柔らかい頬にキスをして、「ママがどうして展志ちゃんのお迎えを忘れるわけないでしょう?あなたはママの一番大切な宝物なのよ!何があっても、ママは必ず展志ちゃんを迎えに来るわ!」
小さな子はその言葉を聞いて、少し安心したようだった。
心春は展志ちゃんにもう少し話をして、娘の気持ちが落ち着いてきたのを見て、やっと先生に子供を預けた。
子供が手を振りながら幼稚園に入っていく姿を見ながら、彼女の唇には優しい微笑みが浮かんでいた。これは彼女の宝物が、日々成長していく姿だった。
この子のためなら、たとえ全てを捧げることになっても、彼女は喜んでそうするだろう!
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幼稚園を出た後、心春は近くに停めてあった黒いベントレーに向かい、運転手は丁重にドアを開けた。
彼女は後部座席に座っている温井卿介を一目見て、車に乗り込み、後部座席に座った。
運転手は車を発進させ、ゆっくりと幼稚園から離れていった。
心春は尋ねた。「どちらへ?」
「三日後のパーティーの準備だ。」彼は言った。「まずはドレスとジュエリーを選びに行こう。」