仁藤心春は首筋に灼熱を感じた。
温井卿介の唇が彼女の首筋に触れ、優しく吸い付いていた。時折、歯が彼女の柔らかな肌を軽く擦り、まるで吸血鬼に襲われているかのような錯覚すら覚えた。彼の歯がいつ首筋を噛み破り、狂ったように血を吸い取るのかと思わせるほどだった。
「お姉さんはそう言って、私が怒るのを恐れないのですか?」彼は囁くように言った。もし彼女の頸動脈を噛み切れば、彼を苦しめるそんな言葉をもう聞かなくて済むのではないかと。
でも...できない。
今の彼には、彼女に少しの傷すらつけることができないのだ。
「でも私は嘘をつきたくないの」心春は言った。彼の側にいることはできても、演技をして彼を愛するふりをすることはできない。「あなたが言ったでしょう。嘘をつくなら、一生涯嘘をつき通さなければならない。でも本当に誰かを愛しているか、愛していないかは、一生涯隠し通すことはできないわ」
「ええ、確かに私が言った言葉です。お姉さんは私の言葉をよく覚えていますね」温井卿介は軽く笑い、突然心春の体を回転させ、彼女を正面から向かせた。
そして彼の唇が、彼女の唇を覆い、激しくキスをした。
強引なキスで、彼の舌が彼女の歯を押し開き、一気に侵入してきた。拒否を許さない程の支配的なキスだった。
心春はただ受動的にそのキスを受け入れるしかなく、小さな舌は彼の舌と絡み合わされ、お互いの唾液を飲み込んでいった。
呼吸が...急促になり、窒息しそうだった。
新鮮な空気を求めて口を大きく開けたが、それが却って彼の侵入を容易にしてしまった。
どれほどの時間が過ぎたのか、彼女の足が震え、全身が崩れ落ちそうになった時、やっと彼はキスを終えた。
彼の片手は彼女の腰を支え、倒れるのを防ぎながら、もう片方の手で彼女の濡れた唇を優しく撫でた。「お姉さん、一生は長いものです。私も以前は誰も愛さないと言っていましたが、後にお姉さんを愛してしまった。だから今、お姉さんはどうして将来のある日、私を愛するようにならないと言い切れるのですか?」
愛?心春は目の前の人を恍惚と見つめた。彼は...本当に彼女を愛しているのだろうか?
彼のこの感情は、愛なのか、それとも極端な歪んだ支配欲なのか?
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三日後、温井卿介は心春を伴って宴会に出席した。