パーティーに参加

「お姉さんは何を考えているの?」温井卿介の声が、突然響いた。

「別に、ただちょっと緊張してるの。今日のパーティーで何か間違えてしまわないかと心配で」彼女は言った。結局のところ、このような宴会には三年以上も参加していなかったのだから!

「大丈夫です。たとえお姉さんがこのパーティーをめちゃくちゃにしても、誰も何も言えないでしょう」温井卿介は言った。

仁藤心春はため息をつき、彼にそう言われると、緊張感が本当に消えていった!

パーティー会場に着くと、仁藤心春は温井卿介と共に車を降りた。すぐに四方八方から注がれる視線を感じ、さらにフラッシュが焚かれ、絶え間なく撮影が続いていた。

「お姉さん、心配する必要はありません。今日はお姉さんがどんな写真を撮られても、ネットには上がりませんし、話題にもなりません」温井卿介は彼女の心配を察したかのように言った。

そう言いながら、彼は仁藤心春の手を取り、会場の中へと歩いていった。

会場に入ると、仁藤心春はまだ多くの視線を感じたものの、先ほどの会場入り口の時よりはましだった。

そのとき、数人の中年男性が近づいてきて、温井卿介に親しげに挨拶を交わした。

仁藤心春はこの数人を見て、どことなく見覚えがあった。塩浜市の名家の人々で、その中の一人とは、三年前に温井卿介の側にいた時、パーティーで会ったことがあった。

他の数人は温井卿介と話をする際、彼女を数回見ただけで、その後は彼女を空気のように扱った。

数年前に会ったことのあるその人物だけが、時々彼女を見ており、何かを考えているようだった。

「藤田社長はなぜ私の同伴者をそんなに見つめているんですか?何か問題でも?」温井卿介の声が突然上がった。

藤田社長と呼ばれた男性は驚いて、温井卿介の沈んだ表情を見て、慌てて言った。「私は...この方がどこかで見たことがあるような気がして...見覚えがあるような...私の勘違いでしょう!」

「藤田社長の記憶は正しいですよ。三年前、お姉さんとパーティーでお会いしたことがありますからね」そう言って、彼は仁藤心春の方を向いた。「お姉さん、覚えていますか?」

「はい」仁藤心春は言い、藤田社長の方を見た。「藤田社長、お久しぶりです」

藤田社長は驚いて口を開けたまま、目の前にいるのが本当に...仁藤心春本人だとは信じられないようだった!