手を止めて

秋山瑛真の二発目の拳が温井卿介の体に当たりそうになった瞬間、仁藤心春は急いで前に飛び出し、秋山瑛真の腕を掴んで止めた。「瑛真、やめて!」

秋山瑛真は体が硬直し、息を荒げながら、自分の腕を掴んでいる仁藤心春を見下ろした。

「お前は……」

「瑛真、もうやめて!」仁藤心春は再び叫び、二人の間に入り、温井卿介に背を向けて秋山瑛真と向き合った。

秋山瑛真の瞳が鋭く細まった。彼女のその姿は、まるで温井卿介を守っているかのようだった。

もしかして、この期間、温井卿介の側にいたことで、本当に……また温井卿介を好きになってしまったのだろうか?

「二人とももう子供じゃないでしょう。どうして手を出すの?秋山おじさんが見たら、きっとまた具合が悪くなってしまうわ」と仁藤心春は言った。

秋山おじさんがショックを受けたら、どうなるか誰にもわからない。