仁藤心春は秋山おじさんを見た途端、目が赤くなってしまった。
三年ぶりに会って、秋山おじさんは少し老けたように見えたが、実際のところ、今でも60歳前後の年齢だった。
彼女は秋山おじさんの側に歩み寄り、優しく声をかけた。「秋山おじさん、来ましたよ」
椅子に座って俯いていた秋山おじさんは、ゆっくりと顔を上げ、心春を見ると慈愛に満ちた笑顔を浮かべた。「ああ、心春か。やっとこのお爺さんに会いに来てくれたんだね。ずっと待っていたんだよ。君に会いたくて、元気な姿を見られて安心したよ」
目に溜まっていた涙が、この瞬間、もう抑えきれないかのように一気に溢れ出した。
「元気です、秋山おじさん。会いに来ましたよ!」心春は声を詰まらせながら、相手の前にしゃがみ込んだ。
「それは良かった、良かった!」秋山おじさんは心春の頭を撫でながら、そうつぶやいた。
心春は秋山おじさんに面白い話をいくつかした。海外での失踪については、単なる海外旅行だったと説明した。
秋山おじさんは心春の話に静かに耳を傾け、終始慈愛に満ちた微笑みを浮かべていた。
しばらく話をして、心春は尋ねた。「秋山おじさん、最近はお元気ですか?」
「ああ、ただ疲れやすくてね。昔の辛い日々を思い出すことが多いんだ。今の良い暮らしのことを考えるようにしているんだが。瑛真は今や立派になって、私にも孝行してくれる。感謝しないといけないね」と秋山おじさんは答えた。
心春はその言葉を聞いて、秋山おじさんが心配事を抱えているのではないかと疑った。確かに以前より精神状態は良くなっているようだが、現在の状態がどの程度なのかは、秋山瑛真に聞かないと分からなかった。
「これからは時間があれば、もっと会いに来ますね」と心春は言った。
秋山おじさんの目は笑みに満ちていた。「ありがとう。心春が来てくれると私は嬉しいよ。この老いぼれが死ぬ前に、こんな嬉しいことがあるとは思わなかった」
「まだ60歳なのに、死なんて言わないでください。長生きしてくださいね」と心春は急いで言った。
「長生きか...そんな望みは持てないが、死ぬときに君と瑛真が幸せそうな姿を見られれば、それでいい...」と秋山おじさんは言った。