夏目星澄が顔を上げると、案の定、梁川千瑠の艶やかで派手な顔が目に入った。
彼女は高価なブランド服を着て、オーダーメイドのアクセサリーを身につけ、さらに数百万円のエルメスのハンドバッグを手に持っていた。
一歩一歩、意気揚々と歩いていた。
明らかに善意ではない来訪者だった。
夏目星澄は偶然の出会いだとは思わず、相手にするつもりもなかった。
しかし梁川千瑠は夏目星澄を目指してきており、彼女の気持ちなど全く気にせず、わざと彼女の前に寄って来て、笑いながら尋ねた。「星澄、どれが気に入ったの?私はここのオーナーとよく知り合いだから、最低価格で交渉してあげられるわ。だってここの商品は全て高価なものばかりでしょう」
夏目星澄は相手が目の前まで来てしまった以上、見なかったふりもできず、冷たく距離を置いた口調で言った。「結構です、お気遣いなく」