第56章 親友のために立ち上がる

林田瑶子は夏目星澄の携帯電話のパスワードを知っていたので、重要な用件があるかもしれないと心配して開いて確認してみた。

見知らぬ番号から送られてきた写真だった。

梁川千瑠と霧島冬真がホテルに出入りする写真で、その怪しげな様子といったら、二人が潔白だなんて誰も信じないだろう!

林田瑶子は怒り心頭だった。霧島冬真が本当に夏目星澄と離婚したいのなら、少なくともきちんと別れるべきで、してはいけないことは絶対にしないはずだと思っていた。

まさか彼がこんなに厚かましく、梁川千瑠とホテルまで行っていたなんて!

しかもこの写真を送ってきたのは、明らかに夏目星澄を刺激するためだった。

その意図の悪質さは明白だった。

林田瑶子は目が赤くなるほど怒っていた。

彼女はもともと気が短い性格で、かなりお酒も飲んでいたため、この状態では殺意すら湧いてきそうだった。

「あのクソ男女、今から命をもらってやる!」

林田瑶子は夏目星澄の携帯を持って、激しい勢いで上階の霧島冬真のいる個室へ向かった。

彼女の様子がおかしいことに気づいた人が、何か起きるのを心配して後を追った。

霧島冬真のいる個室も賑やかで、お酒が進むにつれて、みんなゲームを始めていた。

真実か挑戦かゲーム。

このようなゲームは、霧島冬真にとっては興味のないものだった。

しかし他の人たちは熱中していた。

霧島冬真を仲間外れにしたくない人たちが、一緒に遊ぶよう促した。

霧島冬真はみんなが楽しそうなのを見て、何回か付き合ってプレイした。

ずっと負けなかった。

最後の一回で運悪く負けてしまい、罰ゲームは挑戦だった。

その時、ある女性が突然大胆な要求をし、その場にいる異性の一人と杯を交わして飲むよう提案した。

霧島冬真は端正な眉を少し上げた。

実は他の女性と親密になりすぎるのは避けたかった。

しかし断れば、スポーツマンシップに欠けるように見えてしまう。

そのとき、梁川千瑠が突然お酒を手に取り、照れた表情で霧島冬真に近づき、甘い声で言った。「冬真さん、私と杯を交わしましょう」

ここにいる人たちは、みな多かれ少なかれ霧島冬真と梁川千瑠の関係を知っていた。

みんな興味津々で見ていた。

さらには「飲め、飲め!」とはやし立てる声まで上がった。