第68章 出るべき時に出る

夏目星澄は霧島冬真が梁川千瑠に対してこんなにも冷たい態度を取るとは思わなかった。

以前はいつも心配で眠れないほどだったのに、どうして急に性格が変わったのだろう?

でも、もう自分には関係のないことだ。

「じゃあ、用事もないので、私は先に失礼します」

「誰が用事がないって言った。ちょっと待て」

夏目星澄は不思議そうに彼を見つめた。二人の間にまだ何か用事があるというのだろうか。

霧島冬真は長い脚で歩き、近くのカウンターに行き、冷たいコーラを一缶買って、夏目星澄に手渡した。

生理中で冷たいものが飲めない夏目星澄は、「ありがとう。でも、飲めません」と言った。

霧島冬真は直接コーラを彼女の顔に当て、淡々と言った。「飲むためじゃない。顔を冷やすためだ。腫れているから」

夏目星澄は息を呑んだ。コーラは冷たかったが、確かに顔の腫れを和らげてくれた。