第72章 本当に嫌になった

夏目星澄は即座に群衆の中に飛び込み、地面で暴れている夏目利道を引き上げた。「何を騒いでいるの?早く私と一緒に来て」

夏目利道は夏目星澄が来たのを見て、無関心に服の埃を払いながら言った。「ちょうど良かった。早く霧島冬真を呼んで降りてこさせろ。離婚と財産分与の話をしないといけない」

夏目星澄は彼を何度も睨みつけた。「黙って。これは私と霧島冬真の私事よ。人前でデタラメを言うのはやめなさい。早く私と一緒に来て」

しかし夏目利道は構わず大声で叫んだ。「行かない!結婚の時はケチケチして結納金たった100万円だけ。今度は離婚するのに一銭も出さないつもり?どうして得するのは向こうばかりなんだ。今日は金を受け取らない限り、絶対に帰らないぞ!」

夏目星澄の顔が青ざめた。

彼女は夏目利道が欲深い人間だということを知っていた。