夏目星澄が到着した時、救急車はすでに来ていた。
家政婦は途方に暮れて傍に立っており、夏目星澄を見た瞬間、救世主を見たかのように、「若奥様、やっと来てくださいました。先生方が、旦那様は急性胃炎で、入院治療が必要だと言っています」
その時、医師たちはすでに霧島冬真を担架に乗せていた。「ご家族の方はどなたですか?一緒に病院へ来て手続きをお願いします」
「私です。一緒に行きます」夏目星澄はすぐに医師について救急車に乗り込んだ。
霧島冬真の顔色は星澄が想像していたよりもさらに恐ろしいものだった。
そして眉間にしわを寄せたままで、今がどれほど苦しいかが分かった。
彼女の記憶は一気に、霧島冬真の事故を知った年に戻った。
彼女がその知らせを受けた時、霧島冬真はすでに一ヶ月以上昏睡状態だった。