夏目星澄が到着した時、救急車はすでに来ていた。
家政婦は途方に暮れて傍に立っており、夏目星澄を見た瞬間、救世主を見たかのように、「若奥様、やっと来てくださいました。先生方が、旦那様は急性胃炎で、入院治療が必要だと言っています」
その時、医師たちはすでに霧島冬真を担架に乗せていた。「ご家族の方はどなたですか?一緒に病院へ来て手続きをお願いします」
「私です。一緒に行きます」夏目星澄はすぐに医師について救急車に乗り込んだ。
霧島冬真の顔色は星澄が想像していたよりもさらに恐ろしいものだった。
そして眉間にしわを寄せたままで、今がどれほど苦しいかが分かった。
彼女の記憶は一気に、霧島冬真の事故を知った年に戻った。
彼女がその知らせを受けた時、霧島冬真はすでに一ヶ月以上昏睡状態だった。
病室で、彼はまるで眠っているかのように、天使のように静かだった。
しかし、体中には多くの管が繋がれていた。
とても無力に見えた。
その時、彼女の心は締め付けられるように痛んだ。
そして霧島お婆様に霧島冬真の看病を申し出た。
あまりにも悲しかったのか、あるいは霧島冬真の今の状態が霧島家の方々を混乱に陥れ、彼の看病に十分な精力を注げなかったのか。
ほとんど躊躇することなく同意し、さらに当時最高額の看護師料金で支払いをした。
実際、彼女はお金の額など気にしていなかった、ただ霧島冬真の看病がしたかっただけだ。
それは彼女の人生で最も暗い日々の中での一筋の光だった。
もしこの光が消えてしまったら、彼女も生きていく意味がなかった...
病院に着くと、医師たちは一連の救急処置を行った。
霧島冬真の体の各指標はようやく正常に戻った。
しかし、まだ24時間の経過観察入院が必要だった。
夏目星澄は霧島冬真と一緒に病室へ行き、長い間迷った末、やはり霧島家の方々には知らせなかった。
もともと二人の離婚のことで、両親を十分傷つけているのだから。
この時に霧島冬真が病気で入院したと言えば、彼らの体調が心配だった。
そこで彼女は一人で病院に残って看病することにした。
一晩中、夏目星澄は眠らなかった。
夜が明けかけた頃、彼女はもう耐えられなくなり、ようやく霧島冬真のベッドの横でうとうとし始めた。
霧島冬真が目を覚ました時、目に入ってきたのは白い天井だった。