霧島雪栄は夏目星澄をとあるプライベートクラブに連れて行った。
夏目星澄は彼女とこれ以上関わりたくなかった。「用件を話してください」
霧島雪栄は向かい側に座り、嘲笑うように言った。「夏目星澄、あなたはやるわね。離婚した身でまだ男を誘惑できるなんて」
夏目星澄の表情が一気に冷たくなった。「その言葉はどういう意味ですか?」
霧島雪栄は高慢な態度で星澄を非難した。「つまりね、寂しくて男を探したいのは勝手だけど、私の娘の男に手を出すのは許さないわ。今すぐ花井風真との付き合いを絶ちなさい。分かった?」
夏目星澄は、霧島雪栄が突然彼女を訪ねてきたのは良くないことだと思っていた。
結局、愛娘と花井風真のことだったのだ。
でも、これが彼女と何の関係があるというのだろう!
夏目星澄は冷たい声で言った。「霧島さん、娘さんの結婚のことを心配するのは分かります。でも、何でも私のせいにしないでください。それに、私に何をすべきか指図する権利なんてないはずです」
霧島冬真と離婚した今、霧島雪栄に説教される筋合いなどない。
相変わらず厚かましい性格を発揮していた。
霧島雪栄の高慢な顔が一瞬で青ざめた。「夏目星澄、良い話が分からないようね。私はあなたのためを思って言ってるのよ!花井風真のお父様がどんな方か考えてみなさい。離婚歴のあるあなたなんか、絶対に家に入れるはずがないわ」
夏目星澄の澄んだ瞳に冷気が宿った。「私のため?そんな言葉、あなた自身信じてます?花井風真のお父様がどんな人かは私には関係ないし、気にもしません」
「そうですね、私は離婚しました。でも、だからといってあなたが私を侮辱していい理由にはなりません。以前は霧島家の年長者として敬意を払っていましたが、今のあなたは私にとって何の価値もない人です。高圧的な態度で私に命令する必要なんてありません」
霧島雪栄は、夏目星澄が霧島冬真と離婚してから、こんなに口が立つようになったとは思わなかった。
言葉で動かせないなら、お金で解決するしかない。
「もういいわ夏目星澄、演技はやめなさい。冬真と離婚した後、あまりお金をもらえなかったでしょう。だから急いで金持ちの男を探しているんでしょう」