第142章 霧島お婆様の誕生日を祝う

梁川千瑠はお嬢様で、ネットで炎上しても、お金で解決できる。

しかし、彼の番組はその影響を受け、放送中止になる可能性が高い。

だから彼は夏目星澄に事を大きくしてほしくなかった。

夏目星澄もディレクターの意図を理解していた。

彼女は化粧台の前の携帯を手に取り、先ほどの動画を開いて、彼に見せた。

中には1分間の短い動画しかなかった。

もし梁川千瑠が「後ろめたさから」夏目星澄の携帯を本当に見ていたら、分かっただろう。

夏目星澄の録画時間はたった1分だけだということを。

彼女がそう言ったのは、梁川千瑠を脅すためだけだった。

そして梁川千瑠は本当に怖がって逃げ出した。

ディレクターはそれを見て、先ほどの一部始終が梁川千瑠の自作自演だったことを知った。

彼の目の前で夏目星澄を中傷しようとしたのだ。