第145章 あなたの父親よりずっと良心がある

霧島冬真は本来なら実家に帰りたくなかった。

帰れば、お婆様が夏目星澄のことについてうるさく言うのが分かっていたからだ。

しかし、夜になって、彼の携帯に突然メッセージが表示された。

「今日はお婆様の旧暦の誕生日よ、忘れないでね!」

霧島冬真の目が沈んだ。

去年の今日、夏目星澄が彼の携帯で設定したことを思い出した。

以前は家族みんなで祖父母の誕生日を新暦で祝っていた。

夏目星澄だけが覚えていた。

彼女は年配の方は旧暦の誕生日の方が好きだと言っていた。

そして、彼らが一番望んでいるのは家族が集まって、簡単な食事をすることだと。

だから年に二回誕生日を祝うのもいいじゃないかと。一回は家族だけで、もう一回は対外的な誕生日パーティーとして。

そこで霧島冬真は手元の仕事を置いて、実家に急いで戻った。