話をしていた人は酔っぱらっていたが、悪意はなく、夏目星澄のような美女に酒を勧めようと思った。
そうすれば投資額が増えるかもしれない。
しかも彼女は十月荘の代表として来ているのだから、無関係というわけにはいかない。
夏目星澄は妊娠中で、当然お酒は飲めず、断ろうとした矢先。
三浦昇汰が急いで前に立ち、彼女の代わりに断った。「申し訳ありません、大谷さん。星澄は酒が飲めないので、私が代わりに献杯させていただきます。」
三浦昇汰を好まない別の上司が皮肉を込めて言った。「たかが一杯の白酒じゃないか。霧島社長もまだ何も言ってないのに、三浦くんがそんなに面子を潰すのは良くないんじゃないか?」
三浦昇汰も官界で数々の宴席を経験してきた。
酒の席で一杯で終わることなどない。
ましてや霧島冬真のような大物経営者なら。