第162章 最も尊い客

霧島冬真の今の顔色は鉄のように青ざめていた。

大谷希真は震え上がっていた。

以前、会社で大きな事故が起きた時でさえ、こんなに酷い顔色ではなかった。

どうしたらいいのだろう。

霧島冬真は何も言わず、重い足取りで立ち去った。

しかし大谷希真は知っていた。霧島社長が落ち着いているように見えれば見えるほど、内心では怒りが募っているということを。

前回激怒したのは若奥様との離婚の時だった……

ここで霧島社長のことをこんな風に死んだと言い切れる人は、若奥様以外にいないだろう。

ああ!

彼らは苦労してここまで来たのに。

大谷希真は霧島社長が妻を追いかけて火葬場行きになると思っていたのに。

まさか自分が火葬場行きになるとは思わなかった!

今、霧島社長はきっと若奥様に清算しに行ったに違いない。