産婦人科病院。
今日は妊婦健診に来ている人が多く、夏目星澄は遅めの来院だった。
しかし、妊娠してまだ2ヶ月あまりで、お腹も目立たず、大きなお腹を抱えて疲れている他の妊婦たちとは違っていた。
周りを見渡すと、ちょうど一人の妊婦が席を立って行った。
「あそこに座って待ちましょう」
霧島冬真は眉をひそめ、この場所は環境が騒がしく、うるさくて、いるだけでイライラすると感じた。
彼はもう夏目星澄をここで検査させたくなかった。
夏目星澄の手を引いて外に向かおうとした。
夏目星澄は何が起きたのか分からず、「なぜ私を外に連れ出すの?」
霧島冬真は当然のように言った:「ここは環境が悪すぎる。大谷希真に最も早い便を手配させて、潮見市に戻って検査を受けよう」
「ただの妊婦健診よ、そんなに大げさにする必要はないわ。見てよ、他の妊婦さんたちもみんなここで検査を受けているのに、私だけ特別扱いされる必要はないわ」夏目星澄は自分が特別な存在だとは思っていなかった。