第175章 大胆不敵

大谷希真はすぐに、その職務怠慢の警備員を連れてきた。

警備員は霧島冬真の鉄のように青ざめた顔を見た瞬間、昨夜の出来事がばれたことを悟った。

彼は直接霧島冬真の前に跪き、許しを請うた。「申し訳ございません、社長。私の不始末でした。二度とこのようなことはございません。もう一度チャンスをください。」

霧島冬真は些細な過ちも見過ごさない性格で、夏目星澄を危険に晒しかけた警備員を、自分の側に置き続けることなど到底できなかった。

「使えない屑め。夏目星澄を守れと命じたのに、こんな初歩的なミスを犯し、事が起きても真っ先に報告せず、私を騙そうとするとは。よくもそんな図々しいまねを!」

彼がこれほど激怒するのは久しぶりだった。

その端正な顔は水を絞れるほど険しかった。

周囲の空気は恐ろしいほど重かった。