霧島冬真は手元の書類を処理した後、大谷希真を事務所に呼び出した。
「夏目星澄を迎えに行って、龍城レジデンスに連れて来い」
大谷希真は頷いて、「はい、霧島社長」と答えた。
夏目星澄は霧島冬真が仕事で忙しく、しばらくは構ってくれないだろうと思っていた。
ところが帰ってきた次の日に、大谷希真が訪ねてきて、霧島冬真の別荘に住むよう連れて行くと言い出した。
夏目星澄は不機嫌そうに眉をひそめ、「なぜ霧島冬真の家に引っ越さなければならないの?」
「それは霧島社長からは聞いていません。ただあなたをお迎えに行くように言われただけです」
「行かない」
夏目星澄は考えるまでもなく断った。
もう離婚したのに、どうして一緒に住むことができるだろうか。
本当に彼の言う通り、離婚しても同居するということなのか?