第185章 家を売る

夏目星澄が次の日目を覚ましたとき、霧島冬真はすでに出勤していた。

彼女は最近眠気が強く、通常は九時過ぎまで起きられなかった。

幸い、定時出勤の必要がなかったため、さもなければ早晩クビになっていただろう……

朝食を済ませた後、外出の準備をしていた。

中村さんが突然キッチンから出てきて言った。「若奥様、お出かけですか?旦那様が運転手を手配されていますので、呼んで参りましょうか。」

「結構です。配車サービスを使えば大丈夫です。」夏目星澄は人に迷惑をかけたくなかった。

中村さんは困ったような表情で言った。「それはいけません。今はご懐妊中で、お出かけの際は安全に気を付けなければなりません。それに、旦那様が運転手に特別に指示されていますので、お乗りにならないと運転手も旦那様に申し訳が立ちません。」