第186章 全力を尽くす

林田瑶子はレストランを予約し、監督とそこで会うことにした。

「星澄、紹介するわ。こちらが三浦監督よ。三浦監督、こちらが私の親友の夏目星澄です。」

林田瑶子は二人を紹介した。

三浦和靖は少し優雅な顔立ちで、シンプルな白いシャツを着て、自然な知的な雰囲気を漂わせていた。

とても文化人らしく見えた。

三浦和靖は率先して手を差し出し、「夏目さん、はじめまして。お噂はかねがね伺っていました。林田さんからよく話を聞いていましたので。」

夏目星澄は突然の褒め言葉に少し照れて、「三浦監督、お気遣いありがとうございます。私はただの普通の人間です。そんなに大したことはありません。瑶子が冗談を言っているだけです。」

三浦和靖は包み隠さず褒め称えた。「そんなことはありません。あなたが作った曲はほとんど聞きましたが、あれだけの素晴らしい作品を作れる人が普通の人のはずがありません。特にライブ配信を見た後は、あなたの気質の素晴らしさを実感しました。」

このとき林田瑶子が適切に割り込んだ。「監督、もういいですよ。うちの星澄は照れ屋なので、もう恥ずかしがっていますから。本題に入りましょう。」

「そうですね。夏目さんに実際にお会いして少し興奮してしまいました。本題に入りましょう。これが私が撮影する予定の脚本です。ご覧ください。」三浦和靖はそう言いながら、かばんから書類を取り出して夏目星澄に渡した。

「実は、これまでに何人もの女優を見てきました。様々なルックスや雰囲気の方を見ましたが、どうしも何かが足りないと感じていました。」

「そんな時、偶然ドキドキで、あなたが漢服を宣伝するライブ配信を見かけて、まさに私が想像していたキャラクターそのものだと思いました。そしてコメント欄で多くの人があなたの正体に気付いていて、林田さんがあなたのことを話していたのを思い出し、彼女に頼んであなたとの面会をアレンジしてもらったんです。」

夏目星澄は、単純な手伝いが演技の機会につながるとは全く予想していなかった。

「でも、私は演技の経験が全くありません。うまく演じられるか心配です。お時間を無駄にしてしまうかもしれません。」

「大丈夫です。本格的な撮影まであと15日ありますから、先生に指導してもらえます。何より、あなたの顔立ちと雰囲気が、脚本の女師匠の役にぴったりなんです!」