夏目星澄は霧島冬真がずっと黙っているのは、この件に関わりたくないか、早川晴乃の味方をしているのだと思っていた。
結局、彼らは血のつながった親戚同士で、彼女は離婚した他人に過ぎないのだから。
誰が近しい関係で、誰が遠い関係なのかは一目瞭然だった。
夏目星澄は当然、霧島冬真に助けを求めることはしなかった。
しかし、黙っていた彼が既に警察に通報していたとは思いもよらなかった。
早川晴乃は警察を見た瞬間、実は少し後ろめたさを感じていた。というのも、彼女自身もそのダイヤモンドのブレスレットをどこに落としたのか分からなかったからだ。
しかし考え直してみると、最初部屋にいたのは彼女と夏目星澄の二人だけで、彼女のブレスレットが無くなったのなら、星澄が盗んだ以外に可能性はなかった。