梁川千瑠は一日一晩拘置所に入れられ、彼女の両親は多くの人脈を頼ったものの、結局娘に会うことはできなかった。
霧島峰志が直接霧島冬真に会いに行っても、態度を軟化させることはなかった。
結局、梁川千瑠は起訴され、裁判所の判決を待つことになった。
夏目星澄はこのことを知らず、花井風真から聞かされた。
彼は翌日になって夏目星澄が入院したことを知り、すべての用事を放り出して病院へ見舞いに行った。
夏目星澄は花井風真を見て少し意外に思った。
「星澄、大丈夫か?」
夏目星澄は軽く首を振って、「大丈夫よ、どうして来たの?」
「入院したって聞いたから様子を見に来たんだ。ついでに梁川千瑠が起訴されたことを伝えようと思って。おそらくまもなく、懲役刑が言い渡されるだろう……」
夏目星澄は昨日の霧島冬真の言葉を思い出した。彼は本当に言ったことを実行したのだ。
もしかして、彼は本当に梁川千瑠のことが好きではないのだろうか?
では、なぜ以前はあれほど彼女のことを気にかけていたのだろう?
夏目星澄の心は疑問でいっぱいだった。
花井風真が話しかけているのも聞こえていなかった。
花井風真は夏目星澄の反応がないことに気づき、声を大きくして二度呼びかけた。「星澄、星澄、僕の話を聞いているか?」
夏目星澄はようやく我に返り、「ごめんなさい、他のことを考えていて、聞き逃してしまったわ。何て言ったの?」
花井風真は暗い表情で言った。「実は今日来たのは、きちんと謝りたかったからなんだ。僕のせいで早川晴乃が君に嫌がらせをし、その後の一連の出来事が起こって、君が入院することになってしまった」
夏目星澄は気にしない様子で言った。「謝らなくていいわ。私と早川晴乃は元々相性が悪かったから、あなたがいなくても、彼女は何かと私に嫌がらせをしてきたはず。ただ彼女は愚かで、梁川千瑠に利用されていることにも気づかなかっただけよ」
「でも彼女はあなたの婚約者なのだから、もし本当に結婚することを決めたのなら、彼女を大切にしてあげて」
早川晴乃の人格に問題があると思っていても、二人は既に婚約しているのだから、祝福することしかできない。
しかし花井風真の顔には深い嫌悪感が浮かんだ。「でも星澄、僕は彼女を全く愛していないんだ。彼女と一緒にいるのも強制されているだけなんだ!」