第227章 謝罪すべき相手は私ではない

霧島冬真は眉をひそめ、長い間黙っていた後、目を細めて言った。「つまり、これからも霧島家は梁川家の顔色を伺わなければならないということか?」

「梁川家の顔色を伺えとは言っていない。ただ、やりすぎないように注意しているだけだ。この件は大事を小事に、小事を無に変えて、過ぎ去らせればいい」

「不可能だ」霧島冬真は淡々とした声で言いながら、椅子から立ち上がった。その高い身長が一瞬で際立ち、端正な顔には一片の温もりもない冷淡な表情が浮かんでいた。

「なぜそんなに頑固なんだ。私が今言ったことは全て無駄だったのか!」

「ああ、無駄だった」

この返事は霧島峰志をほとんど怒り死にさせそうだった。「では千瑠をどうするつもりだ?」

「するべきことをする。過去の縁を考えて、殺さないだけだ」

霧島冬真は無表情でそう言い終えると、オフィスを出て行った。

彼は既に梁川家に警告していた。夏目星澄に手を出すなと。

しかし彼らは聞く耳を持たなかった。

田中文乃への制裁では梁川千瑠に過ちを認識させるには不十分だったようだ。

ならば、彼女に苦しみを味わわせてやろう……

梁川千瑠は警察署でかなりの苦労を味わった。

警察の取り調べに協力しなかったため、直接拘置所に入れられた。

誰とも面会させてもらえなかった。

拘置所には彼女だけでなく、様々な罪を犯した他の女性たちも一緒に収容されていた。

彼女たちは梁川千瑠を見た瞬間、裕福な家庭の娘だとわかった。

最初は関わるつもりはなかった。

しかし梁川千瑠は拘置所に入っても態度を改めず、お嬢様の気取りを見せびらかした。

拘置所の部屋が汚いと文句を言い、周りの人に掃除をさせようとした。

食事の時も、食べ物が気に入らないと言って床に投げ捨て、向かいにいた短髪の女性のズボンを汚してしまった。

その短髪の女性はここで最年長で、この場所の「古株」だった。

何度も出入りを繰り返し、四、五回は入所していた。

気性も最も荒かった。

ここに入る者は誰も彼女を怒らせようとせず、堂島さんと呼んで敬っていた。

堂島さんは無駄話をせず、直接梁川千瑠の頬を平手打ちした。「このクソガキ、私のズボンを汚しやがって!」