霧島冬真は彼女がほとんど狂ったような様子を見て、異常に冷静な声で言った。「はっきりと言えることは、私は君を愛していない。あの事故があってもなくても、結果は同じだ」
「君を愛していないから、憎むこともない。だからあの件で君に復讐するようなことはしない」
「それに、君も考えてみるべきだ。君の私への気持ちは本当に愛だったのか。あの時、事故で私が意識不明になって、一番そばにいて世話をしてくれる人が必要な時に、君は黙って海外に行って、私たちの家族との連絡を絶った」
当時の両家の関係からすれば、恋人同士でなくても、少なくとも友人のはずだった。
それなのに一度も見舞いにも来なかった。
だから何年経っても、緒方諒真が梁川千瑠を見るたびに、恩知らずだと言うのも無理はない。
あの時、友情さえも無視したのに、どの面下げて愛を語るのか。