七夕の日。
東條煌真は特別な準備をして、林田瑶子にプロポーズしようと考えていた。
もちろん、これは林田瑶子には内緒の話だった。
しかし、林田瑶子の親友である夏目星澄は事情を知っており、喜んで協力していた。
ちょうどこの日は日曜日で、林田瑶子は朝早くから身支度を始め、夏目星澄に服装の相談をしながら、午後まで時間をかけていた。
「星澄、見てよ、この白いワンピースと、このピンクのワンピース、どっちがいいと思う?」
夏目星澄は夜のプロポーズのことを考えながらアドバイスした。「白がいいわ、白が似合うと思う」
でも林田瑶子は両方の色が気に入っていたので、夏目星澄にピンクの方を着てもらおうと思った。「うん、そうね。じゃあこっちは星澄が着てよ」
「冗談でしょ。お腹こんなに大きいのに、あなたのワンピースなんて着られないわ」
「えへへ、試してみないとわからないでしょ」
「やめてよ、本当に着られないわ。それに妊婦なんだから、こんな少女っぽい服は似合わないわ」
「誰が言ったの?妊婦さんだって可愛いわよ。早く試してみて」
夏目星澄は林田瑶子の熱意に負けて、そのピンクのワンピースを試着することにした。
着られないと思っていたのに、意外にもぴったりだった。
「瑶子、このワンピース大きめに買ったの?私、着られちゃった」
林田瑶子は顎を上げて、嬉しそうに言った。「当たり前よ。星澄のために選んだんだもの。可愛いでしょ!」
「私のために?じゃあさっきどっちの色がいいか聞いたのは何で?」
「だって、直接プレゼントって言ったら絶対断るでしょ。だからこういう作戦を考えたの。だから着たからには脱がないでね!」
夏目星澄はそう言われて、彼女の気持ちを無にするわけにはいかなかった。「わかったわ、脱がない」
「そうそう、じゃあ写真撮りましょう」林田瑶子はすぐにスマートフォンを取り出し、二人の写真を何枚か撮った。
「あはは、すっごく可愛い」
林田瑶子が十分に写真を撮り終わった後、時計を見て不満そうに口を尖らせた。「東條のバカ、どうなってるの?この時間に出かけるって約束したのに、まだ帰ってこないじゃない」
「たぶん渋滞してるんじゃない?今日は週末だし」