第251章 私だって望んでいると思わないのか?

花井風真は優しく夏目星澄の涙を拭いてから、説明した。「私は東條煌真と協力関係にあって、今日初めて彼の彼女が林田瑶子だと知ったんです。彼がプロポーズしたいと言うので、手伝いに来ました。」

実は、もっと大きな理由は、こんな大切な日に夏目星澄も来ると知っていたからだった。

夏目星澄は頷いた。なるほど。

その時、林田瑶子と東條煌真は抱き合っていた。

「キスして、キスして、キスして」

多くの通行人が囃し立てた。

東條煌真と林田瑶子は気前よくキスを交わした。

夏目星澄は林田瑶子と東條煌真の幸せそうな様子を見て、心から彼女のために喜んだ。

自分とは違って、プロポーズどころか、結婚も単に証明書を取得しただけで、何の儀式もなかった。

実際、儀式が好きじゃない女の子なんていない。ただ、結婚したい相手が真剣に考えてくれるかどうかだけの問題だった...

夏目星澄はそこまで考えて首を振った。こんな嬉しい日に、あの人のことを考えて何になる。

林田瑶子と東條煌真は十分にキスを交わしてから、夏目星澄の側に来た。

「星澄、あなたったら、私の親友なのに、東條煌真と一緒に私に内緒にしてたなんて。プロポーズされるって分かってたら、もっと綺麗な服を着てきたのに!」

「親友だからこそ、彼のために秘密を守って、あなたにサプライズをあげたのよ。それに、今日のあなたは十分綺麗よ。みんなが褒めてたわ!写真もたくさん撮ったの。」

「本当?早く全部送って、見せて!」

林田瑶子はすぐに夏目星澄の側に寄り添い、たった今プロポーズしてくれた婚約者のことを忘れてしまった。

しかし東條煌真はもうそれに慣れていた。

彼は少し体を向けて、夏目星澄の隣にいる男性に感謝の言葉を述べた。「花井社長、お手伝いいただき、ありがとうございます。」

花井風真は首を振った。「東條社長、お気遣いなく。何より大切なのはあなたの心遣いです。」

「でも、本当に不思議な縁ですね。花井社長が瑶子の親友と知り合いだったなんて、本当に縁があるものですね。」

「確かに不思議な縁ですね。」

花井風真は横で林田瑶子と楽しそうに話している夏目星澄を見つめた。

彼女の側にいられるなら、少し遠回りでも構わない。

林田瑶子は写真を確認し終わると、食事に行くことを提案した。